BPO_20周年記念誌
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124放連は2019年の総務省の有識者会議(当時は「放送を巡る諸課題に関する検討会(諸課題研)」)で、「規模の大小がありながらもローカル局が各放送エリアに複数あって番組編成を競い合い、NHKとも切磋琢磨する仕組みが、情報の地域性、多元性、多様性を担保しています」と発言している。しかし、各局ともゴールデンタイム前の同じ時間帯に、一日の出来事を振り返り、エリア内のグルメ、観光、行楽等の最新のトピックスやトレンド情報を取り上げることが多い。そのため、番組は複数あったとしても、その内容は似たり寄ったりではないか、との批判はかねてから少なくなかった。しかし近年、放送広告収入が落ち込んで地域事業にもビジネスを〝拡張〟しなければならなくなったことや、ネットを活用してエリア外にもコンテンツやサービスを〝拡張〟できるようになったこと、つまり、新たなビジネスと新たな市場という二つの〝拡張〟を考える時代になったことで、放送の世界では十分に発揮しきれなかったそれぞれの局の個性が磨かれ、結果として、ローカル局の多様性は以前より増してきているのではないか、というのが筆者の取材実感である。ローカル局の地域メディア機能次頁の図は、筆者がこれまでの取材を通じて、ローカル局がいま果たしていると感じている地域メディア機能を整理し分類したものである。コンテンツ制作が最大の事業ドメインであるNHKやキー局と比べると、ローカル局は実に多彩なメディア機能を有しているということがわかる。もちろん、これら全ての機能をローカル局1局で果たしているということではない。この機能のうち、どこを伸ばしていくことで

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