81企画・取材、制作、放送事件事件とのかかわりで特定の販売店の映像を使用する場合は、事前に直接取材し、事実の把握とその言い分や意見を報道に反映する姿勢が求められるが、伊予テレビは、申立人への事実の確認や言い分を直接取材することなく、ボカシ処理をしたのみで放映した。こうした対応はジャーナリズムの姿勢としては不十分であったといえよう。また、単に参考映像として放映したのであれば、申立人の経営する販売店に映像を絞るべき合理的理由はないから、ボカシ処理をしてまで申立人の販売店の映像を使用する必要性はなかったと考える。第12号 自動車ローン詐欺事件報道(2000.10.6)関 連ボカシ処理しても特定される場合がある②(49ページ)資料映像の使用の注意全土連会長である申立人の社会的評価の低下がある場合に、これが真実又は真実と信ずるについて相当の理由があるとしても、申立人の上記「励ます会」での発言の際の映像を用いることによって、本件放送内容全体から受ける印象において、一部の視聴者に、あたかも申立人が政治力で膨大かつ不要ともいえる事業を持ってきたという認識を生じさせたことについては、全土連の政治力を印象付けることが目的であったとしても極めて安易で、短絡的であるとの批判を免れない。第39号 徳島・土地改良区横領事件報道(2009.3.30)解 説土地改良区で起きた横領事件の報道において、前年に開かれた参議院議員の集会で申立人(全土連会長)が発言する映像が使用され、申立人は事前の承諾なく使用されたと肖像権侵害を主張した。委員会は、肖像権侵害は認められないが、安易な使用だと指摘した。
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