77企画・取材、制作、放送事件3 人権の尊重 (3) 犯罪報道にあたっては、無罪推定の原則を尊重し、被疑者側の主張にも耳を傾ける。取材される側に一方的な社会的制裁を加える報道は避ける。民放連 裁判員制度下における事件報道について(2008年1月17日) (2) 一方的に社会的制裁を加えるような報道は避ける。容疑者写真の繰り返し使用は慎重な配慮が必要容疑者の実名・顔写真は報道の真実性の裏付けとして、ニュースの基本要素であり、本件報道の場合も、事件の公共性、公益性からみて、実名、顔写真の使用は許されるものと判断する。しかし、短時間に多数回、繰り返し放送することは、容疑者という呼称をつけたとしても、視聴者に対し、犯人ではないかという先入観を植え付ける危険をもたらしかねない。特に顔写真は、視聴者に強いインパクトを与えがちである。これらを考慮すれば、逮捕段階における容疑者の実名や顔写真の報道、とりわけ顔写真の扱いについては、犯人視的な効果を持つことがないよう、慎重な配慮が求められる。第6号、第8号、第9号 大学ラグビー部員暴行容疑事件報道(1999.3.17)逮捕された地方公務員の職場の映像とプライバシー自己の職場や役職などをみだりに公表されたりしない権利はプライバシー権などで保障されている。しかし、公共の利害に関わる事実を、公益を図る目的で報道することは報道の自由として保障されており、そのこととの関係で権利侵害とまでいえないこともある。公務員が刑事事件の被疑者になった場合であるからといって、役職や部署にかかわらず職場や担当部署等を一律に放送することが正当化されるとはいえず、被疑事件の重大性、その公務員の役職、仕事の内容など
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