放送人権委員会 判断ガイド 2024
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76放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送事件際して、より具体的な事案のイメージを与えるために画像が用いられていると考えられ、地方公務員の準強制わいせつ罪にかかる刑事事件という事案の重さにも鑑みると、報道目的から見て相当な範囲を逸脱しているとまではいえず、いずれにせよ権利侵害が生じているとまでは いえない。第64号 事件報道に対する地方公務員からの申立て(熊本県民テレビ)(2017.3.10)解 説準強制わいせつ罪の疑いで逮捕された申立人は、フェイスブックに掲載していた自分の顔写真が無断で放送に使用されたと肖像権侵害を訴えたが、委員会は認めなかった。なお、委員会は、放送で写真の出典を明らかにすることによって視聴者が申立人のフェイスブックに誘導され、申立人の友人や家族の写真を閲覧することができることにもなりうるとして、このような側面に留意が必要だとした。関 連第63号 事件報道に対する地方公務員からの申立て(テレビ熊本)(2017.3.10)軽微な犯罪は容疑者映像の使用に配慮本件放送が取り上げた事案は、申立人の風営法違反(無許可営業)による現行犯逮捕であり、さまざまなケースがある風営法違反の中でも悪質性が比較的軽微なものであることはまちがいない。結果的にも罰金50万円の略式命令で終わった。一般にテレビに放映される人物の映像や顔写真は視聴者に強いインパクトを与える。それだけに逮捕された容疑者の映像や顔写真を使う際には、放送倫理上、慎重な配慮が求められる。とりわけ本件放送のような事案を対象にした場合、映像の使用が対象者に対する過剰な制裁的・懲罰的効果を生まないようにする配慮が重要である。第47号 無許可スナック摘発報道への申立て(2012.11.27)解 説1分9秒の本件ニュースにおいて、申立人の映像が計4回37秒流され、大写しの顔や警察の車に連行される場面も含まれていた。委員会は人権への適切な配慮を著しく欠き放送倫理上重大な問題があると言わざるを得ないと判断した。参 照民放連 報道指針

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