放送人権委員会 判断ガイド 2024
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73企画・取材、制作、放送事件目的でなされた場合(公益性)、こうした報道機関による外形的なプライバシー侵害、名誉毀損はただちに違法とはされないとする法理が確立している。第47号 無許可スナック摘発報道への申立て(2012.11.27)「関係先」「関係者」の表現本件放送は「関係先」という表現を使った。ここで「関係先」は、テレビ静岡の説明を繰り返せば、「事件や捜査と何らかのかかわりがある場所、または事件に関係がある人物と何らかのかかわりがある場所」という意味で使われた。むろん、「関係先」という表現を使わないことも可能だっただろう。だが、上述した取材に至る経緯や現場の状況から考えて、テレビ静岡が、こうした意味で申立人宅を浜名湖事件の「関係先」と表現したことは特段不合理とはいえない。「関係先」という表現を使ったにもかかわらず、本件放送の段階でテレビ静岡は「関係」の具体的な内容をつかんでいたわけではなかったことは先に述べた。しかし、だからこそ「関係先」という、ある意味漠然とした表現を使ったとも考えられる。こうした表現の選択は、ニュースにおける一般的な用語法として逸脱とはいえない。申立人宅を浜名湖事件の「関係先」としたことが特段不合理とはいえない以上、「関係者」という表現も許容できるといわざるを得ない。第66号 浜名湖切断遺体事件報道に対する申立て(2017.8.8)解 説局は独自の捜査情報を入手し、「関係先とみられる県西部の住宅などを捜索し、複数の車を押収し、事件との関連を調べている」「関係者から事情を聴いている」と報じた。申立人は、捜査員は浜名湖事件の容疑者による別の窃盗事件の証拠品として申立人の車を押収しただけなのに申立人が浜名湖事件にかかわったかのように伝えられたことで、名誉を毀損されたと申し立てた。委員会は上記のように述べ名誉毀損に当たらないと判断した。

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