70放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送事件断定を避け、捜査の推移に応じた取材、報道を一方的な報道や犯人視的な報道に陥らないためには、警察発表に依存せざるを得ない第一報段階では無理としても、事件捜査の推移に従い、容疑者の家族や弁護士等に可能な限りの取材を試み、その言い分を伝える努力と工夫を払うべきである。裏付け取材が困難な場合には、容疑段階であることを考慮して、断定的なきめつけや過大、誇張した表現、限度を超える顔写真の多用を避けるなど、容疑者の人権にも十分に配慮した、慎重な報道姿勢が求められる。第6号、第8号、第9号 大学ラグビー部員暴行容疑事件報道(1999.3.17)解 説大学のラグビー部員ら8人が婦女暴行容疑で逮捕されたが、被害者との示談が成立し告訴が取り下げられたため、全員処分保留で釈放され、その後起訴猶予処分になった。申立人は部員2人とその家族で、「暴行行為に加わっていないのに犯人と放送され、本人と家族の名誉が著しく損なわれた」と東京の民放5局を相手に申し立てた。委員会は3局について放送倫理上問題があったと判断した。捜査の推移に応じて報道内容の修正を逮捕後の事態の推移によりビデオ販売の事実も、両事件との関連性も確認できなかったことが判明したわけであるから、警察の当初の見込みと異なり、当初の報道内容とも異なる、重要な事実にかかわる事態の推移、展開であることを考えると、後のフォローアップ報道により、この点の修正、説明の機会が必要であったと思われる。第13号、第14号、第15号 援助交際ビデオ関連報道(2001.1.30)
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