66放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送苦情対応、謝罪・訂正この点につき、後の放送で実質的な訂正がなされたことは、もとより評価できるが、正式な訂正の形をとっていないこと、また、申立人はすでに96年の5月中にはこの点の誤りを指摘しており、一部のメディアも5月中には、この事実を報じているにもかかわらず、TBSの訂正の時期が非常に遅れたことは、放送倫理上問題であったと考える。第2号 サンディエゴ事件報道(1998.3.19) (1998.3.19)解 説アメリカで大学教授と娘が射殺された事件で、教授夫人が、自分が事件に関与していたのではないかという予断に基づく誤報、犯人視報道が行われたと名誉、プライバシーの侵害を申し立てた事案。申立人が「80万ドルのキャッシュで家を購入した」との報道は誤りだと1996年5月に指摘したのに対し、局は同年11月8日の放送でキャッシュではなくローンで購入したことを伝え実質的な訂正を行ったと主張した。引用・配信の誤報も局自ら訂正すべき申立人夫妻は既に離婚していたとか、現金で豪邸を購入し高級車を数台保有するなど大学教授の割りには派手な生活を送っていたなどの放送は、明らかな誤報を含む不適切なものであったといえる。また、そうした放送を連続して行うことにより、視聴者に対しあたかも申立人が疑惑の渦中にあるような印象を与える可能性があったことは認めざるを得ない。このうち特に、離婚についての誤報は、申立人の感情を著しく傷つけるだけでなく、本件においては権利侵害をもたらす可能性があったことも否定できない。これに対し、テレビ朝日は、誤報等に対する是正措置は、夕刊フジ、読売新聞、日刊ゲンダイ及びサンケイスポーツなどの記事を引用、紹介することにより行った、と主張している。離婚についても平成8年10月18日付けの夕刊フジ、11月7日付けの日刊ゲンダイ等の記事により、申立人の言い分を紹介している。しかしながら、他紙または外電の引用、紹介とはいえ、本件放送を行った責任はテレビ朝日にあるのであるから、是正措置も他紙の引用、紹介ですまさず、テレビ朝日自らの放送によって正されるべきであった。第3号 サンディエゴ事件報道(1998.3.19)
元のページ ../index.html#84