放送人権委員会 判断ガイド 2024
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64放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送苦情対応、謝罪・訂正人の主張するような爆弾予告や殺人をほのめかす脅迫等との直接的因果関係を確定することはできない。第50号 大津いじめ事件報道に対する申立て(2013.8.9)解 説いじめ事件の報道において、加害者とされる少年の氏名が判読できる静止画像がネット上に流出し、少年と母親がプライバシー侵害を申し立てた。申立人は、局が謝罪放送をしたことが実名漏洩の事実を追認することになり、実名が広まる結果を招いたと主張した。関 連モザイク処理のミスと求められる人権意識(49ページ)謝罪放送は的確に謝罪意思を伝える謝罪放送はその内容および対応の如何によっては良心の自由にも関わる重大な問題を含むもので、他者からこれを命じることは容易に認められない。しかし、本件では、局およびA氏は謝罪すべき事態であると認めたのである。そうであれば、自ら必要と認めた謝罪の意思が的確に伝わるような方法を採用すべきであった。第43号 拉致被害者家族からの訴え(2010.3.10)解 説討論番組の司会者A氏と局のアナウンサーは、1カ月後の同じ番組内でA氏の不適切発言を謝罪したが、発言の順番等で混乱が生じ、委員会は、謝罪が真摯なものであったか疑問を感じさせる結果になったと指摘した。訂正放送の趣旨訂正放送を行う趣旨は、①視聴者一般に対し、放送の誤りを知らせ、正しい事実を伝えること、②視聴者一般に対し、誤報があったことをお詫びすること、そしてその放送によって被害を受けた者がある場合には、③これらを通じ、当該放送によって被害を受けた当事者に対し、お詫びの気持ちを伝えること、④同時に、当事者が受けた被害(例えば名誉毀損や名誉感情の侵害等)について社会的に回復する効果を生むこと、が考えられる。第40号 保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え(2009.8.7)

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