58放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送出演者への対応参加と懸賞・景品の取り扱い」には、「(84)企画や演出、司会者の言動などで、出演者や視聴者に対し、礼を失したり、不快な感じを与えてはならない」「(85)出演者の個人的な問題を取り扱う場合は、本人および関係者のプライバシーを侵してはならない」という規定があり、出演者への配慮も放送倫理の内容をなすことが示されている。また、日本民間放送連盟報道指針3(4)に、「取材対象となった人の痛み、苦悩に心を配る」とあることも参考になる。これらに加え、そもそも、出演者の身体的・精神的な健康状態に放送局が配慮すべきことは社会通念上当然のことであり、場合によっては契約の付随義務等として法的な義務ともなるのであって、出演者へのこうした配慮は放送倫理の当然の内容をなすものと考えられる。第76号 リアリティ番組出演者遺族からの申立て(2021.3.30)参 考本件決定後、民放連は「番組出演者の保護」に関する放送局の自主的な取り組みの検討を進め、「民放連 放送基準」を改正してSNS等における出演者への誹謗中傷に関する条文を新設するとともに、会員各社における誹謗中傷対策の参考となる「番組出演者への誹謗中傷に関する留意事項」を策定し、2024年4月1日に施行する。リアリティ番組では出演者の健康状態に一層の配慮が求められるリアリティ番組の出演者が誹謗中傷によって精神的負担を負うリスクはフィクションの場合よりも格段に高いといえること、出演者がしばしば未熟で経験不足な若者であること、そして、番組とは独立して存在する営みを撮影するドキュメンタリーとは異なり、リアリティ番組においては、状況を設定し、さらに出演者を選んで制作・放送しているのが放送局であることからすれば、放送局には、出演者の身体的・精神的な健康状態に特に配慮をすることが求められる。第76号 リアリティ番組出演者遺族からの申立て(2021.3.30)
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