54放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送公平・公正公平・公正の判断と番組の影響力公平・公正を欠いた本件放送によって著しい不利益があったか否かを判断するに際しては、その放送がもつ社会的影響の大きさを軽視すべきではないと考える。すなわち、本件番組は、信頼性のある番組として多くの視聴者に迎えられていることは周知の事実であり、一般視聴者に与える影響も軽視できないと考える。第36号 高裁判決報道の公平・公正問題(2008.6.10)解 説番組の取材を受けた民間団体が「事前の説明と異なる不本意な番組を放送された」と局を訴えていた裁判の高裁判決を伝えた2007年1月29日の21時台のニュース(本件放送)について、民間団体が「当事者としての言い分」と「報道機関としての報道」を峻別せずに報道し、公平原則を逸脱しているなど、放送倫理に反していると申し立てた。委員会は、局のコメントだけでなく、原告側の記者会見の様子などを報道した19時台のニュースと、21時台のニュースの視聴者が必ずしも一致していないであろうことからすると、可能な限り21時台のニュースの中でも、申立人らの見解も伝えられるべき事案であったとし、放送倫理上問題があると言わざるを得ないとした。なお、「本件番組」は21時台のニュース報道番組全体を指し、「本件放送」は2007年1月29日の放送回を指す。参 照〈公平・公正について〉放送倫理基本綱領放送は、意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない。報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない。民放連 報道指針2 報道姿勢誠実で公正な報道活動こそが、市民の知る権利に応える道である。われわれは取材・報道における正確さ、公正さを追求する。 (3) 公平な報道は、報道活動に従事する放送人が常に公平を意識し、努力することによってしか達成できない。取材・報道対象の選択から伝え方まで、できるだけ多様な意見を考慮し、多角的な報道を心掛ける。民放連 放送基準第6章 報道の責任(32) 報道活動は市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づき、公正でなければならない。
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