放送人権委員会 判断ガイド 2024
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53企画・取材、制作、放送公平・公正である。むしろ、活発に行われてしかるべきである。しかし本件においては、すでに詳述したとおり判決の読み方がいかにもずさんであり、その内容が不正確となったがためにスタジオトーク部分において公平性を欠くものになったと同時に、VTR部分を含めて考えると、申立人らおよび一般視聴者に対し、構成全体として不公平感を抱かせるものになったと判断する。第41号 割り箸事故・医療裁判判決報道(2009.10.30)関 連判決の不正確な要約②(34ページ)個々のニュースの中で双方の意見を伝えることが原則放送における公平・公正の確保は、個々のニュースや番組の中で双方の意見を紹介できないときでも、番組編成全体のなかで異なる意見があることを伝え、あるいは、一定の期間内の同一番組において異なる意見があることを紹介することでも達成できると考えられる。しかしながら、先に述べたとおり、本件放送が、被申立人自身が一方の当事者となっている裁判の判決を伝えるものであったという特殊な事案であったことに加え、『ニュース7』の視聴者と本件放送の視聴者が必ずしも一致していないであろうことからすると、「個々のニュースや番組の中で双方の意見を伝えることが原則」であるといえ、可能な限り本件放送の中で申立人らの見解も伝えられるべき事案であったと判断する。第36号 高裁判決報道の公平・公正問題(2008.6.10)解 説番組の取材を受けた民間団体が「事前の説明と異なる不本意な番組を放送された」と局を訴えていた裁判の高裁判決を伝えた2007年1月29日の21時台のニュース(本件放送)について、民間団体が「当事者としての言い分」と「報道機関としての報道」を峻別せずに報道し、公平原則を逸脱しているなど、放送倫理に反していると申し立てた。委員会は、局のコメントだけでなく、原告側の記者会見の様子などを報道した19時台のニュースと、21時台のニュースの視聴者が必ずしも一致していないであろうことからすると、可能な限り21時台のニュースの中でも、申立人らの見解も伝えられるべき事案であったとし、放送倫理上問題があると言わざるを得ないとした。なお、「本件番組」は21時台のニュース報道番組全体を指し、「本件放送」は2007年1月29日の放送回を指す。

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