放送人権委員会 判断ガイド 2024
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50放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送匿名報道、モザイク映像などえざるを得ない。第50号 大津いじめ事件報道に対する申立て(2013.8.9)解 説いじめ事件の報道において、加害者とされる少年の実名部分がモザイク処理されていない映像が放送された。放送では氏名は判読不能だったが、ネット上に流失した静止画では判読できた。委員会は番組制作現場の人権意識の希薄さがミスを招いたと指摘した。関 連ネットに流出した氏名が判読できるテレビ画像とプライバシー(96ページ)参 照少年法(記事等の掲載の禁止)第61条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のときの犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等により、その者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。第68条 第61条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない。ただし、当該罪に係る事件について刑事訴訟法第461条の請求がされた場合(同法第463条第1項若しくは第2項又は第468条第2項の規定により通常の規定に従い審判をすることとなつた場合を除く。)は、この限りでない。​音声処理のミスとプライバシー保護放送までの時間に追われる中での編集上のミスによって申立人の肉声が一部で放送され、薄いボカシなどもあいまって少なくとも一部の者に放送の対象が申立人であると特定できることになったことについて、テレビ東京は、申立人のプライバシー保護には十分な対応をしており、申立人の肉声が流れてもそれは放送上の「不体裁」が生じたものに過ぎないとしているのに対し、委員会は、この編集上の問題は申立人のプライバシー保護に関わりうる問題を含んでいたと捉えている。個人のプライバシー保護が必要な場面で、放送の目的との関係でも矛盾なく対応が可能であれば、編集などにより十分な配慮を行うべきであり、アレフの問題を取り上げる本件放送の内容がいかに高い公共性・公益性を持つとしても、この点は変わることがない。第71号 宗教団体会員からの肖像権等に関する申立て(2020.2.14)

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