放送人権委員会 判断ガイド 2024
66/264

48放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送匿名報道、モザイク映像などの真実性の吟味がおろそかになった可能性がうかがえる。テレビにおける安易な匿名化がもたらす問題性については、委員会は2014年6月9日、「顏なしインタビュー等についての要望 ~最近の委員会決定をふまえての委員長談話~ 」を公表した。プライバシー保護などの理由で匿名化が必要な場合は少なくない。しかし、匿名化した場合、真実性の探求はより十全に行われなければならない。第57号 出家詐欺報道に対する申立て(2015.12.11)解 説委員会は、申立人の映像は顔がまったく見えないなど匿名化され申立人と特定できないと判断したが、ナレーションは明確な虚偽を含み実際の申立人とは異なる虚構を伝えたと指摘した。関 連人権侵害がなくても「事実の正確性」は放送倫理上の検討課題(158ページ)インタビューは顔出しが原則原則は顔出しインタビューであり、あくまで例外として顔なしインタビューを認めるという点について、テレビ局各局は、放送関係者だけではなく、一般社会においても認知されるよう努力すべきである。その際、取材対象となる市民との信頼関係に基づく十分な意思疎通が必要である。これにより、人が自由に様々な意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会を持つことの大切さを認識することができる。また、例外的に顔なし映像を用いたり匿名化の処理をする場合には、画面上でその処理の理由を注記することなどにより、行きすぎた社会全体の匿名化にも注意を促すことができるものと考える。 2014年6月9日 顔なしインタビュー等についての要望〜最近の委員会決定をふまえての委員長談話〜(204ページ)ボカシ処理しても特定される場合がある①本件放送では、申立人の年齢、出身の地方、申立人がA市に居住すること、A市内の国立大学を放送の年に卒業したことを説明し、これに重ねて申立人の卒業した大学を想起しうる、大学の構内、学部の名称の入った門柱の映像などを流している。さらに、ボカシはかけられているもの

元のページ  ../index.html#66

このブックを見る