放送人権委員会 判断ガイド 2024
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44放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送編集・制作を追求する目的のほか、反論の機会を提供するためのものであると主張しているが、実際の映像の用い方は、真実を伝えるためというには内容的に十分であるとはいえず、申立人の反論を十分に聴取したものともいえない。番組では、改ざんではないと主張する申立人のインタビューに続いて、「判決が確定してなお、改ざんを否定する教授」というナレーションでこのやりとりを締めている。第46号 大学病院教授からの訴え(2011.2.8)解 説局は、申立人が取材依頼に応じなかったため、通勤の路上で直撃取材をした。委員会は取材に問題はないとしたが、放送されたインタビューと関連するナレーションは申立人に対する一方的な非難としてのみ機能し、結果的に制裁的な表現になっているとして放送倫理上の問題を指摘した。調査報道に求められる丁寧な取材と編集質問と回答のつながりにおいて放送後に被取材者に疑問を生じさせないためにも、取材に当たっては取材者が明確に質問意図を説明し、被取材者の回答についても確認のやりとりを随時挟みながら進めるなど丁寧な取材を心がける必要がある。また、放送内で使用する証言の構成についても、作為を疑われないよう編集することが、特に証言を丁寧に積み重ねて真相を究明していく調査報道にあっては一般の報道以上に求められるところと言えよう。第42号 派遣法・登録型導入報道(2009.11.9)解 説登録型派遣法の立法過程を追った調査報道について、取材を受けた元官僚や学者がインタビューのねつ造等による名誉毀損を申し立てた事案。委員会はねつ造に当たらないと判断したが、「作為があった」と疑いを抱かせる余地があった点については局に反省を求めた。発言の本質部分の削除は編集の行き過ぎコメンテーターとしての発言の本質ともいうべき「裁き」の部分が全て削除されたため、申立人の発言内容が視聴者に唐突な感じを与えたり、

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