39企画・取材、制作、放送編集・制作制作現場が十分な注意を払っていないことのあらわれであって、ニュースを編集・発信しているという自覚が欠如しているといわざるを得ない。第40号 保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え(2009.8.7)(2)映像編集編集の自由一般に取材されたものが全て放送されるわけではなく、取材したものを取捨選択して放送することは、編集の自由の一環として、もとより保障されるべき事柄である。第5号 幼稚園報道(1998.10.26)解 説番組で取り上げられた幼稚園と理事長らが、取材趣旨の説明と異なり、経営状況の厳しさだけが意図的に強調されたとして、幼稚園の信用が毀損され、保護者・園児・教職員らの名誉が侵害されたと申し立てた。委員会は、取材したものを取捨選択して放送することは編集の自由の一環として保障されるべき事柄であることを指摘しつつ、「取材、編集過程で配慮に欠けるところがあったため、幼児園側からみれば、一方的で著しくバランスを欠いた放送であると認識されたことも事実であり、放送倫理上問題があった」と判断した。判 例〈番組編集の自由〉最高裁第一小法廷判決「番組期待権訴訟」2008年6月12日法律〔編注:放送法〕上,放送事業者がどのような内容の放送をするか,すなわち,どのように番組の編集をするかは,表現の自由の保障の下,公共の福祉の適合性に配慮した放送事業者の自律的判断にゆだねられているが,これは放送事業者による放送の性質上当然のことということもでき,国民一般に認識されていることでもあると考えられる。そして,放送事業者の制作した番組として放送されるものである以上,番組の編集に当たっては,放送事業者の内部で,様々な立場,様々な観点から検討され,意見が述べられるのは,当然のことであり,その結果,最終的な放送の内容が編集の段階で当初企画されたものとは異なるものになったり,企画された番組自体が放送に至らない可能性があることも当然のことと国民一般に認識されているものと考えられる。放送事業者が番組を制作し,これを放送する場合には,放送事業者は,自ら,あるいは,制作に協力を依頼した関係業者(以下「制作業者」という。)と共に,取材によって放送に使用される可能性のある素材を広く収集した上で,自らの判断により素材を取捨選択し,
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