34放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送編集・制作第55号 謝罪会見報道に対する申立て(2015.11.17)判決の不正確な要約①高裁判決は難解である。そして、もとより、地裁判決と高裁判決のどちらが妥当かは、議論の対象となりうるものであり、両判決を正確に紹介したうえで高裁判決を批判するのは、意義あることである。また、放送にあたり一般視聴者が理解できるように専門用語を避け、あるいは細部を捨象するなどの工夫を行う必要が生じることは少なくないが、わかりやすい放送と不正確な放送は、次元を異にする。本件放送は内容が正確性を欠いている点において放送倫理上の問題があると判断する。第46号 大学病院教授からの訴え(2011.2.8)解 説医療界の隠蔽体質をテーマにした報道番組について、取材を受けた国立大学医学部教授が公平・公正な取材に基づかない事実に反する偏向報道だったと人権侵害を申し立てた事案。委員会は、放送された判決の要約は視聴者の認識を誤導する恐れがあったとした。判決の不正確な要約②本件放送において示された……要約は、判決における裁判所の判断中には見当たらない文章を用いたもので要約にもなっていない。この文章は、判決が、被告(医療側)がこう主張していると述べた部分(判決要旨)にあるもので、被申立人はこれをそっくりそのまま民事裁判の判決の内容だとして流用した形で放送したのである。一方の当事者が主張したことを、裁判所の判決にあることと思わせる手法で使用していること自体、単なるミスではすまされない誤りで、すり替えといわれても仕方がないものである。第41号 割り箸事故・医療裁判判決報道(2009.10.30)解 説男児が割り箸をくわえたまま転倒し、割り箸の先端部分が脳にまで達した結果、
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