放送人権委員会 判断ガイド 2024
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31企画・取材、制作、放送編集・制作フリップ、テロップの使用は細心の注意が求められる一般にフリップの使用は複雑な事実を視聴者に分かりやすくする上で有用な映像手法である。しかしそれが視聴者に直接的に与える印象度の強さからいえば、その作成にあたっては細心の注意を払うことが求められる。まして被申立人がヒアリングにおいて述べたところによれば、本件番組ではフリップが事実上放送の台本の役割を担うというのであるからなおさらといえよう。またテロップも、発言者の発言内容を視覚的に訴える目的で使用されるのであるから同様の配慮が必要である。第41号 割り箸事故・医療裁判判決報道(2009.10.30)データの作成、提示の仕方園児数減少の説明は事実から外れたものとまではいえないものの、幼稚園と保育園の園児数の比較グラフは、両者の全国的な状況を象徴的に示す狙いと考えられるが、公正さとバランスの点で配慮を欠いたものであった。保育園と同様、付近の幼稚園全体のデータを掲示することが望ましかった、といえる。全体として、これらの表現及び事実の選択は、意図的に事実を歪曲、誇張して恣意的にデータを操作したものとは認めがたい。しかしながら、放送は大きな影響を及ぼすものであり、今回の番組が幼稚園の厳しい経営状況を伝えるものであったことなどを考えると、表現やデータの作成・提示の仕方において、一層の配慮と慎重さが必要であった、と考える。第5号 幼稚園報道(1998.10.26)疑惑報道は疑惑の段階であることを明確に伝える疑惑を報道するのであれば、取材努力を尽くしたうえで、あくまで疑惑の段階であることが明確になるようにすべきである。

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