30放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送編集・制作4編集・制作(1)コメント、テロップ等の表現不適切な“テレビ的技法”本件面談場面は当然のことながら、面談場面のすべてではなく、編集されたものである。テレビ朝日には番組の編集権があるから、事実を歪めるような恣意的な編集がある場合を除けば、このこと自体は批判できない。視聴者の理解を深め、関心を引くために、放送の中で規制音・ナレーション・テロップといった、申立人のいうテレビ的技法を使うことも、それ自体批判されることではない。しかし、編集の仕方や規制音・ナレーション・テロップの使い方は、番組が視聴者に与える印象に大きく影響する。もし事実を歪めかねない恣意的ないしは過剰な使い方がされているとしたら、当然に問題を生じる。第61号 世田谷一家殺害事件特番への申立て(2016.9.12)解 説番組では、事件の遺族である申立人が犯人像を探るFBI元捜査官と面談する場面が放送されたが、申立人は自身が否定してきた「強い怨恨を持つ顔見知り犯行説」という元捜査官の見立てにあたかも賛同したかのような内容だったと人権侵害を訴えた。委員会はテレビ的技法が駆使され、極めて不適切な新聞テレビ欄とともに申立人に対する公正さと適切な配慮を欠いたとして放送倫理上重大な問題があったと判断した。参 照民放連 報道指針4 報道表現 (1) 過度の演出や視聴者・聴取者に誤解を与える表現手法、合理的理由のない匿名インタビュー、モザイクの濫用は避ける。
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