放送人権委員会 判断ガイド 2024
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29企画・取材、制作、放送取材と認められる事情は存しない。また、隠しカメラ・隠しマイクによる映像について、申立人の意見や反論を取り上げる必要がないとする事情も存しない。隠し撮りしか申立人の本音を伝えることはできなかったからその言い分は取り上げなかったとの被申立人の主張は、報道における批判の対象である者の主張にも耳を傾けるという取材の在り方からはずれているというほかない。第26号 喫茶店廃業報道(2005.10.18)解 説放送内容は、たこ焼き屋の女店主(申立人)は夜間に屋台を違法駐車して営業していたが、喫茶店の店主が警察などへ通報したことを知り、喫茶店に乗り込んで脅迫めいた抗議や嫌がらせをした結果、喫茶店は閉店に追い込まれたというもの。局は隠しカメラ・隠しマイクを用いて申立人の言動を取材した。申立人は「映像を巧みにつなぎ合わせ偽装した内容に仕立て、いかにも申立人が嫌がらせを続け、喫茶店を廃業に追いやったように放送した」と申し立てた。カウンセリングの隠し録音脱会カウンセリングは、法的な資格に基づいて行われているものではないが、脱会にあたって有効な手段として社会的にも認知されているところである。そのカウンセリングにおいて話された内容について、カウンセラーに守秘義務があることは条理上明らかであり、申立人も守秘義務に関する信頼に基づいてカウンセリングに応じて話をしている。本件放送は、そのような守秘義務に関する申立人の信頼を裏切らせ、申立人には思いがけず自らの内面を明らかにされる結果となっている。このような取材・表現手法が認められれば、脱会カウンセリングなどの場面で条理上守られるべき守秘義務に対する信頼がゆらぎ、相互の信頼関係が維持されず、このようなカウンセリングなどを行うことが困難になるおそれもある。第52号 宗教団体会員からの申立て(2014.1.21)関 連取材依頼は取材対象者本人に対して(17ページ)参 照民放連 報道指針2 報道姿勢 (1)視聴者・聴取者および取材対象者に、常に誠実な姿勢を保つ。取材・報道にあたって人を欺く手法や不公正な手法は用いない。

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