放送人権委員会 判断ガイド 2024
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21企画・取材、制作、放送取材解 説本件放送は、局が企画、制作に関わっていない「持込番組」であるが、局は放送責任を負う。委員会は、局の考査において放送対象である申立人に取材しなかった問題点を容易に指摘できたのに、これを怠った点で放送倫理上の問題があると判断した。関 連「持込番組」の考査(102ページ)報道対象者への取材は不可欠②情報源が申立人に対立的な大阪維新の会の市議と内部告発者で、申立人の社会的評価を低下させる放送内容であれば、回収リストが本物であるかどうかを含め申立人を取材してその言い分を放送することは取材の基本であろう。第51号 大阪市長選関連報道への申立て(2013.10.1)解 説「大阪市交通局の労働組合が『現職市長の支援に協力しなければ、不利益がある』と、職員を脅すように指示していた疑いが、独自の取材で明らかになりました」とのリードで伝えたニュースについて、労組が名誉毀損等を申し立てた事案。労組への裏付け等の取材が行われないまま報道され、その後、局が入手した、現職市長支援のための『知人紹介カード』の回収リストは内部告発者のねつ造だったと分かった。局は続報としてリストはねつ造されたもので労組の関与がなかったことを伝えたと主張したが、委員会は放送倫理上重大な問題があると結論付けた。報道対象者への取材は不可欠③1年半前の不起訴の事実を報道するに当たっては、そのニュース報道の必要性と意味について、さらなる吟味が求められる。本件事案では、群馬県議会総務常任委員会の質疑からも、群馬県行政書士会内部の複雑な背景事情がうかがわれるにもかかわらず、本件放送は一方の当事者の言い分のみを取材し放送している。取材報道に当たっては、原則として、報道対象者に報道の意図を明らかにしてその弁明を聞くことが必要であり、このことは当委員会が再三にわたり指摘してきたことである。第37号 群馬・行政書士会幹部不起訴報道(2008.7.1)

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