20放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送取材質問の対象・趣旨などを取材に際して可能な範囲で説明し、かつ撮影した映像等の実際の使用についても本人の意向を明確に確認しておくことが望ましい。映像を加工せずに実際の放送で使用すること(いわゆる「顔出し」)についても、マイクとカメラをむけたインタビューに申立人が応じた事実だけをもってよしとせず、はっきりと本人の了解を得ておけば、本件の場合も紛争を回避できた可能性が高い。第74号 大縄跳び禁止報道に対する申立て(2020.10.14)(2)取材のあり方報道対象者への取材は不可欠①TOKYO MXは、本件放送について考査を通した理由として、今回は取材しなくても別の機会で取材すればよい、制作に関与していないため考査で取材内容のすべてを判断できるわけではない、そして、番組として珍しく現地取材に行っているので、それなりに取材をしたものと信じた旨を主張している。しかし、「別の機会」に申立人や「のりこえねっと」に取材をした事実は示されていないし、そもそも一般視聴者は、本件放送を完結したものとして見てさまざまな判断をするのであって、「別の機会」まで判断を留保するわけではない。また、考査で取材内容をすべてチェックできるわけではないのは当然のことで、それを理由に、申立人への取材が行われていないことが明らかであるにもかかわらず、考査においてこれを不問に付すことはできない。珍しく取材を行ったというだけで、番組の内容に裏付けがあると信じたという理由に至っては、考査の責任放棄と言わざるを得ない。報道に当たっては、原則として、報道対象者に報道の意図を明らかにして取材をすることが必要であり、このことは委員会が再三にわたり指摘してきたことである(委員会決定第51号「大阪市長選関連報道への申立て」等)。第67号 沖縄の基地反対運動特集に対する申立て(2018.3.8)
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