18放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送取材解 説オウム真理教の後継団体、アレフを取り上げた番組について、在家信者が脱会カウンセリングを受けた際の隠し録音や両親あての手紙の文面を承諾なく放送されたと申し立てた。委員会は、本件放送の公共性・公益性を高く評価しながらも、承諾なく私生活の領域に深く立ち入るもので、プライバシーへの十分な配慮があるとは言えないとして放送倫理上の問題があると判断した。関 連カウンセリングの隠し録音(29ページ)取材相手には誠実に対応一般論として、報道機関には、ときに被取材者を裏切ってでも視聴者の知る権利に応える必要に迫られる場合がある。しかし、本件がそのような事例に該当しないことは、被申立人自身が十分に理解しているものと考える。さらに本件のように、被取材者がいわば私人である場合には、被取材者と取材者の両者の関係性において、放送局の立場が優位にある。放送局は、このことを忘れることなく、不公正な手法を用いないのは当然のこと、傲慢さや思い込みを律し、常に誠実な態度で取材を実行する必要がある。第48号 肺がん治療薬イレッサ報道への申立て(2013.3.28)解 説抗がん剤を取り上げた番組について、副作用で亡くなった患者の父親が、客観性、正確性、公正さを欠く内容で人権を侵害されたと申し立てた。委員会は、放送倫理上の問題があったとまではいえないが、取材先との長年の信頼関係を喪失したことを十分に反省し、事前の取材・企画意図の説明等について再度検討するよう要望した。取材意図・番組趣旨は十分に説明①放送事業者には、放送法3条によって放送番組編集の自由が保障されており、被申立人に番組編集の自由が認められるのは当然のことであるが、しかし、そのことは、取材対象者に対して番組の趣旨や取材意図の十分な説明を怠ったり、取材対象者に伝えた趣旨や目的と異なる仕方で取材・収録した映像を取り扱ったりすることまで、正当化する根拠にはなり得ないであろう。第27号 新ビジネス“うなずき屋”報道(2006.1.17)
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