17企画・取材、制作、放送取材特に被害者遺族には心情に配慮した取材説明が必要放送事業者は、特段の事情がない限り、取材対象者に対して番組の趣旨や取材意図の十分な説明をすることが求められる(委員会決定 第27号「新ビジネス“うなずき屋”報道」など参照)。とりわけ、事件や事故の被害者遺族が取材対象者である場合には、その心情に配慮することが求められる。第60号 自転車事故企画に対する申立て(2016.5.16)解 説番組は自転車事故で母親を亡くした申立人のインタビューに続けて、自転車事故の「被害者」の小学生が当たり屋だったというドラマを放送した。申立人は取材の際にドラマで当たり屋を扱うことの説明が全くなかったことは不適切であり、自分も当たり屋であるかのような誤解を視聴者に与えかねず名誉を侵害されたなどと申し立てた。委員会は、局は申立人の立場と心情に配慮せず、本件放送の大部分を占めるドラマが当たり屋を扱ったものであるという申立人にとって肝心な点を説明しなかったとして放送倫理上の問題があると判断した。取材依頼は取材対象者本人に対してテレビ東京は、申立人の承諾なく録音や撮影をしたことについて、アレフに対して取材申し入れを行ったにもかかわらず断られ、あるいは申立人以外のアレフの個別の信者に路上等で取材の申し入れをしたが断られたから、やむを得ない手段であったとする。申立人とは別個の主体であるアレフや申立人以外の信者が本件取材に対して拒絶するような対応をとったからといって、申立人本人に対して取材の申し入れを行わなかったことや、カウンセリングの内容を隠し録音して放送することまでを正当化する理由とは評価しがたい。また、テレビ東京は、申立人の両親が、申立人に対する取材に同意していたことを申立人に関する取材及び放送を正当化する理由としてあげるが、申立人は、すでに成人しており、いかに両親が承諾しているからといって、申立人に対する取材・表現手法の問題は解消されない。第52号 宗教団体会員からの申立て(2014.1.21)
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