14放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送企画第27号 新ビジネス“うなずき屋”報道(2006.1.17)週刊誌等の集中的な報道を端緒とする場合は特段の注意が必要本件番組は週刊誌等による集中的な報道を端緒としており、その内容は熟知されていたわけであるから、放送により相乗効果が発生することは十分予見が可能であった。このような場合は、放送内容に特段の注意が求められるにもかかわらず、テレビ朝日にはそれらの配慮が不十分であった。そのため、視聴者に作為的な事故との印象を与え、保険金目当ての事故ではなかったかとの疑惑をかき立てる内容となり、申立人の名誉・信用を毀損することになった。第17号 熊本・病院関係者死亡事故報道(2002.3.26)解 説病院関係者4人が死亡した自動車事故を取り上げた情報番組ついて、病院理事長らが保険金目的の殺人事件の可能性が高いと報道され、名誉、信用を毀損されたと申し立てた事案。申立人は、写真週刊誌が虚偽内容の記事を伝えていたが、強い影響力を持つテレビ局が同じ内容の報道をして疑惑をさらに強くかき立てたと主張した。制作意図と取り上げる事案のミスマッチこのような啓蒙的番組において、何らかのニュース性のある事件を契機に制作、放送することが、より視聴者の関心を呼び、啓蒙的効果をもたらすものであることは想像に難くないが、取り上げるケースがその制作意図にマッチするものであってはじめて意味があることであり、誤って制作意図にそぐわない事案を取り上げたときには、事案について正確を期そうとすれば、意に反して制作効果自体を減じることになるし、逆に本件のように、制作意図に忠実であろうとすれば、意識するしないは別として、事実調査をおろそかにしたり、事実を歪曲することとなり、ひいては取り上げられた事案の当事者の名誉を毀損し、社会的評価を低下せしめ、その人権を侵害する結果を招くことになる。
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