放送人権委員会 判断ガイド 2024
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12放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送企画専門性の高い分野の報道メディアは専門分野のことはわかりにくいとして敬遠することは間違いであり、むしろ、これと取り組むことはメディアの使命でもある。しかしそれを試みる以上、それなりの覚悟と十分な準備が必要である。また、速報性もテレビメディアが持つ特性である以上、二つの要請をどう調和させるかについて常に問題意識を持つべきである。このことについては、ニュース素材を得てから放送までにスタッフにおいてその内容についての十分な検討を行うこと、そして問題点を正しく掌握したうえで、社内外の専門家との協議、専門家コメンテーターの選択、出演者、司会者との十分な事前打合せによって情報を共有するシステムが必要である。第41号 割り箸事故・医療裁判判決報道(2009.10.30)企画の採否は局の編成権・編集権に属する放送においてどのような企画を採用するかについては、局の編成権・編集権に属するところであり、申立人側が提案した企画案を採用するか否かは被申立人において決定すべき事項である。したがって、その判断が申立人らの要望に沿ったものでなかったとしても、それ以前に申立人らが被申立人に対して了解を与えていたという事実を覆す理由とはならない。第45号 機能訓練士からの訴え(2010.9.16)解 説車イスの少女が普通中学校への入学を拒否された問題を特集した報道番組に対して、少女に行っている機能訓練の映像が無断で使用されたとして機能訓練士から局に抗議があった。映像は少女の両親が撮影したもので、局は機能訓練士に謝罪。7カ月後の放送で局は機能訓練士の許諾を得て映像を使用したが、機能訓練士は自らが提案した企画を局から拒否されたことを契機に映像使用許諾の解除を告げ、肖像権の侵害等を申し立てた。委員会は、権利侵害はなく放送倫理上の問題もないとした。2企 画

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