報道機関の報道は、この民主主義社会において、人が政治・経済・文化活動等に関与するについて、重要な判断の資料を提示し、また公正な意見・論評をすることによって、人々の知る権利に奉仕するものである。テレビ・ラジオの放送も、視聴者主義の確立を求められ、そのような活動の一翼を担っている。他方、高度情報通信社会において、他人に知られたくない個人のプライバシー、名誉、肖像などはみだりに侵害されることのないよう保護することも必要である。「放送と人権等権利に関する委員会」の役割はここにある。三宅 弘 〈『判断ガイド 2014』から〉 放送の自律は、メディアの方ご自身ががんばらないと、こればかりはどうしようもない。がんばるためには市民の支持、信頼がないと絶対ダメだという認識です。報道被害が迅速に救済されることがメディアに対する信頼を生み出し、それが報道の自由を支える大きな力になる。市民の支えがないと、例えば時の権力者の介入を許すような下地ができるだろうと思っています。坂井 眞 〈2016年2月3日 九州・沖縄地区意見交換会から〉 放送局は自主的な組織として自らを律して「自由狼藉」への逸脱を防がなければなりません。放送が民主的な社会で本来の役割を果たすためには、自主・自律は不可欠の前提です。第三者機関である放送人権委員会は放送局の外の組織です。では、放送の自主・自律とどのような関係にあるのでしょうか。この点についてはいろいろな考え方はありますが、私は「放送の自主・自律をサポートする」というところに放送人権委員会の役割があると思っています。むろん放送局をお白洲に引き出して断罪する正義の町奉行ではありません。奥 武則 〈『判断ガイド 2018』から〉委員長のばこと
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