放送人権委員会 判断ガイド 2024
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8放送人権委員会 判断ガイド2024企画・取材、制作、放送表現の自由と人格権の侵害に関する基本的な考え方表現の自由は、各人が個人として自己の人格を形成、発展させ、また、民主主義社会を成り立たせるためにも必要不可欠な自由である。とりわけ、「報道機関による報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の『知る権利』に奉仕するものである」(最高裁決定1969.11.26)。一方、人格権が単に私法上の権利ではなく、憲法13条の個人の尊重に結びついた重要な権利ないし利益であることも論をまたない。報道による人格権に対する侵害が違法と評価されるのか、それとも、憲法21条に保障された表現の自由によって正当化されるのかは、一律に判断することはできず、一方における報道の公共性、他方における報道された者の社会的地位等を考慮して、具体的に考察されなければならない。第46号 大学病院教授からの訴え(2011.2.8)何を報道するかの選択も「報道の自由」の一態様日々さまざまな出来事が起こる。「ニュース」としてテレビで放送されるのはそのごくごく一部である。何を「ニュース」にするか(何を「ニュース」にしないか)の判断はもっぱら報道機関として当該テレビ局の裁量にまかされる。いわば「選ぶ自由」である。それは、健全な民主主義社会を支える「報道の自由」の一態様だろう。第47号 無許可スナック摘発報道への申立て(2012.11.27)解 説県警よる無許可営業のスナック摘発と女性経営者の現行犯逮捕をニュースで報道I-11取材・報道の自由

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