219要望、見解、声明などう。そうなればメディアは二度とMNCの審理に参加しなくなるだろう。」3) 苦情申立人からすれば、MNCの訴訟放棄の条件はいささか厳しすぎるようにも思われるが、裁判所のほかに、MNCやBRCのような苦情処理機関があることは、ある意味でメディアは“二重の危険”にさらされるわけである。また、苦情処理機関での証拠や証言が裁判で一方的に利用される危険性があり、そのため、第三者機関の存在を支えている“善意の合意”が崩れるおそれもある。米国で全国レベルの第三者的報道評議会が存在せず、また地方でもMNCを除いて成功していないのは、そのへんに大きな理由があるものと考えられる。BRCと裁判との関係も、さらに検討される必要があるが、その場合にも慎重な態度が望まれる。なお、英国では1990年に入って報道評議会が廃止され、91年からプレス業界の苦情処理機構として新たにプレス苦情委員会〔PCC=Press Complaints Commission〕が機能を開始したが、PCCの苦情申立手続規定は、従来の「提訴権の放棄制度」を廃止する一方、『委員会は、法的手続きに訴える可能性のある事案については、苦情処理を拒絶したり、延期したりする裁量権を持つ』との条項を定めた。以 上放送番組の録画・録音の視聴請求について2001年2月20日放送と人権等権利に関する委員会BRCの審理を公正・迅速に行う上で、放送内容確認に関する東京高裁判決(平成8年6月27日)及び平成7年11月11日に施行された改正放送法(第4条、第5条)の趣旨にも鑑み、権利の侵害を受けたことが客観的に明らかな者だけでなく、その可能性を有する者でその主張に一応の合理性がある者に対しては、できるだけ視聴させることが望ましい。
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