放送人権委員会 判断ガイド 2024
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210放送人権委員会 判断ガイド2024要望、見解、声明など集中豪雨的報道と人権への配慮(「サンディエゴ事件報道」事案の決定に際して)1998年3月19日放送と人権等権利に関する委員会委員長 有馬 朗人今回申立てを受けた各テレビ局の放送の中には、誤報をはじめ放送倫理の上で問題を持つものが少なからず見受けられたが、人権等権利の明白な侵害とまではいえないものと委員会は判断した。しかし、活字媒体を含む集中豪雨的な報道の中で、あたかも、申立人が疑惑の人物のような印象を与えかねないものがあったことや、申立人及びその周辺に対する激しい取材活動などを総合的に考えると、申立人の怒り、憤りもよく理解できるところである。一般に事件・事故報道の中には、とかく興味本位に構成される傾向がみられ、人権等の権利の侵害を招く危険が少なくない。この点は、これまでも繰り返し指摘されてきたが、本件を機に、各放送局が人権の尊重をはじめ放送倫理の徹底に一層の配慮を払うよう強く要望する。また、誤りを発見したときは、時間を置かず速やかに訂正し、必要があれば謝罪措置をとること、本人や関係者から指摘を受けた場合は、出来るだけ親切かつ適切に対応することを強く要望したい。

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