放送人権委員会 判断ガイド 2024
225/264

207要望、見解、声明など委員長談話新しい判断のグラデーションの適用にあたって2012年11月27日放送と人権等権利に関する委員会委員長  三宅 弘当委員会は、2012年5月15日の第183回委員会において、「委員会決定」における判断のグラデーションを見直し、現在審理中の事案から適用することを決定し、BPO加盟放送事業者に通知するとともに、BPOウェブサイトの委員会議事概要においてこれを公表した。2011年秋にBPOが実施した在京・在阪放送局への聞き取り調査では、「見解」にある「放送倫理違反」と「放送倫理上問題あり」の判断の違いが分かりにくいという声が出ていたことによる。このため、従前の決定等をふまえつつ、「放送倫理違反」と「放送倫理上問題あり」という2つの判断を一本化することとした。そのうえで、放送倫理の内容が法規範とは異なり必ずしも確定的ではないこと、放送局が定めた自主的倫理規範に反しているかどうかを委員会判断の主な拠り所としていること等にかんがみて、表現については「違反」とはせず、「問題あり」で統一することとした。これに伴い、分かりやすさという観点から、「重大な放送倫理違反」も「放送倫理上重大な問題あり」に修正されることとなった。この結果、「勧告」と「見解」の区別については従前どおりで変更はないものの、「勧告」として「人権侵害」と「放送倫理上重大な問題あり」、「見解」として「放送倫理上問題あり」、「要望」、「問題なし」とに、判断のグラデーションが分かれることとされた。本件は、この新たな判断のグラデーションによる最初の事例となった。従前の判断のグラデーションによれば、「エステ店医師法違反事件報道」(委員会決定第31号)においては、「見解」として「放送倫理違反」とされ、「徳島・土地改良区横領事件報道」(委員会決定第39号)においては、「勧告」として「申立人の名誉毀損をきたしかねない重大な放送倫理違反」とされ、その後の「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」(委員会決定第40号)及び「割り箸事故・医療裁判判決報道」(委員会決定第41号)においても、同様に、「重大な放送倫理違反」とされた。従前の決定と比較するに、新しいグラデーションにおいては、「放送倫理違反」という判断を廃し、「放送倫理上問題あり」という判断で統一したことから、特に、放送倫理上の問題点を違反事例に限定することなくより広く具体的にとらえると

元のページ  ../index.html#225

このブックを見る