200放送人権委員会 判断ガイド2024審理対象外とした事例の放送により権利の侵害を受けた個人またはその直接の利害関係人を原則とする。」と規定している。 この点に関して、申立人は、申立人が理事長・院長を務める病院の名誉その他の権利侵害等を、本件申立てによって主張するものではなく、児童養護施設入所中の子ども等の名誉等を問題とするものであるとの見解を明らかにしている。 しかしながら、児童養護施設入所中の子ども等の特定がなされていないこととも相まって、当委員会は、当事者と第三者である申立人との直接の利害関係を認定することはできなかった。 以上のとおり、委員会は、本件申立てについて、運営規則第5条の苦情の取り扱い基準の各要件に該当しないものとして本件申立てを審理対象外とした。 委員会コメント 放送倫理・番組向上機構[BPO]規約第4条2.は、「放送倫理検証委員会、放送と人権等権利に関する委員会および放送と青少年に関する委員会において、同一の放送番組を取り扱う場合、互いに連携して、必要な措置を講ずる」と規定している。この規定をふまえて、当委員会としても、これまで検討を重ねてきたので、下記のとおりコメントする。現代社会の事象に対して問題提起する番組を制作することは、放送の自由の行使として、極めて意義のあることです。その一方で、青少年委員会委員長コメント("子どもが主人公のドラマ"に関する「委員長コメント」 2014年4月8日付)が指摘するとおり、そのような「番組内容の場合、その引き起こす社会的波紋に対する事前の配慮は、通常にも増して行う必要があったのではないか」という点において、今後さらに検証されるべきものであると考えます。 この点については、当該局自身「貴協議会から事前に児童養護施設を取り巻く環境などの実情を詳細に伺い、表現上留意すべき点などをより慎重に確認しておく必要があったと認識しております」(全国児童養護施設協議会に対する回答書 2014年2月4日付)と述べ、ドラマ制作の準備段階に問題があったことを認めています。 当委員会は、上記のような事項は単に当該局だけでなく、すべての放送局において共有され、今後十分に配慮されるべき点であると考えます。 当委員会は、苦情の取り扱いにおいて名誉、信用、プライバシー・肖像等の権利侵害、およびこれらに係る放送倫理違反に関するものを原則とし、公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被った者からの書面による申立てをも取り扱
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