放送人権委員会 判断ガイド 2024
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194放送人権委員会 判断ガイド2024審理対象外とした事例ニュース番組について、主催でも共催団体でもないにもかかわらず、あたかも市民団体がデモ行進を行ったかのように報道され、会員らの名誉を著しく傷つけたなどとして番組内での訂正と謝罪等を求めた。また、番組はデモ行進の中で「ヘイトスピーチ」を行ったと、事実に反する報道をして会員の人権を著しく侵害したと主張した。委員会は、本件申立ては個人名で提出されているものの、番組では申立人個人を具体的に取り上げておらず、申立人の名誉等人権侵害に関わる内容は含まれていないと判断した。そのうえで、委員会は、申立書に「会員の名誉を著しく傷つけた」等書かれ、本件申立ては団体の会長として団体を代表して提出されたと受け取ることができるとして、団体からの申立てとして検討した。その結果、団体のウェブページによると、この団体は明確な会則のもと、1万4500人余りの会員を擁し、さらに相当程度の情報発信力も備えているものと認められ、こうした団体としての規模、組織、社会的性格等に鑑み、委員会運営規則に照らして、委員会が例外的に救済する必要性が高い事案とは認められないとの判断に至り、本件申立てを審理対象外とした。(2014年7月 第211回委員会)農協関連団体対象となったのは、2015年2月に放送された情報バラエティー番組。政府が進める農協改革をめぐる報道に対し、全国の農協組織の事業及び経営の指導や監査等を行うA会が「事前に取材もなかったほか、事実と異なる内容が多く、農業協同組合グループに関して悪いイメージを植え付けられ、著しく名誉を傷つけられた」と申立書を提出した。申立書はA会を代表して会長名で提出されたが、提出された資料等によると、2012年度現在、A会の会員である農業協同組合は、正組合員(461万人)、准組合員(536万人)を合わせた総組合員998万人を擁し、農業協同組合数は2015年1月1日現在694組合に達している。A会が行う行政や全国的な組織との連携・調整等を含む事業には高度の社会性が認められ、さらに会長による定期的な記者会見など、A会が相当程度の情報発信力を備えていることも認められる。 こうした団体としての規模、組織、社会的性格等に鑑み、本件申立ては委員会が例外的に救済する必要性が高い事案とは認められないと判断し審理対象外とした。  (2015年5月 第220回委員会)

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