放送人権委員会 判断ガイド 2024
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193審理対象外とした事例別に、委員会による救済の必要性が高いなど、審理対象とすることが相当であるとは認められない」(運営規則5条1項(6)による)。さらに「匿名、モザイクなどの使用により個人を特定できないことから、名誉、プライバシー、肖像に関する権利侵害は認められないし、公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被った者と認めることもできない」(運営規則5条1項(2)による)などとして、上記とあわせ、本件申立ては審理対象外とすると判断した。(2008年5月 第135回委員会)参 照委員会 運営規則5条(苦情の取り扱い基準)1 (1) 名誉、信用、プライバシー・肖像等の権利侵害、およびこれらに係る放送倫理上の問題に関するものを原則とする。  (2) 公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被った者からの申立てがあった場合は、委員会の判断で取り扱うことができる。公的な研究機関原爆による放射線被ばくの調査・研究機関から、在京テレビ局が2012年7月に放送した報道番組について名誉毀損の申立てがあった。番組は、この研究機関がこれまで内部被ばくに関する取り組みを軽視してきたとし、福島第一原発事故でも福島の人たちの不安に応えられず、今後もリスクの解明ができるか疑問である等伝えた。この放送に対し研究機関は「内部被ばくの調査を実施して来なかったという重大な事実誤認に基づく番組構成で、憤りを禁じえない」等主張した。委員会は検討の結果、この研究機関については、原爆被爆者に対する放射線の影響調査を重点として、放射線の人に及ぼす医学的影響およびこれによる疾病の調査研究等を行ってきた等、その沿革や研究内容、また日米両政府が経費を分担して共同で管理運営していることなどから、その組織や活動に高い公共性を有し、かつ、一定程度の情報発信力も備えていると認められるとし、「救済の必要性が高いなど相当」とみなすことはできないとして審理対象外とした。(2013年3月 第195回委員会)市民団体申立人は市民団体の会長。2014年3月に放送されたデモ行進に関するローカル

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