192放送人権委員会 判断ガイド2024審理対象外とした事例3団体などからの申立て貸金業協会「朝の情報番組で『貸金業者の金利は、グレーゾーンではなく違法ゾーンだ』と述べたコメンテーターの発言は誤りであり、それによって著しく不利益を被った」と神奈川県貸金業協会から申立てがあった。申立ては、団体からの申立てに関する改正運営規則の施行を待って行われたものであるが、委員会は、当該協会は自らの利益擁護のために社会に対し啓蒙・宣伝等の主張をなしうる立場にある団体であることなどから、「本件申立ては例外的に審理をする必要性が高いとはいえない」と判断し、審理対象外とした。(2007年7月 第125回委員会)宗教団体隠しカメラ・隠しマイクを使用した宗教団体への潜入取材レポートが2007年9月の報道番組で放送され、その宗教団体および団体幹部から、名誉毀損等の権利侵害ならびに公平・公正に関する放送倫理違反の2つの申立てがあった。委員会は2007年7月に運営規則を改正し、条件付きながらも「団体からの申立て」も受理することとし、また、「公平・公正を欠いた放送」についても審理対象とすることとした。これを受けての団体からの本格的な審理要請案件であり、委員会では審理入りするかどうかについて慎重に審議した。まず、団体幹部の個人としての申立てについては、「匿名、モザイクなどの使用により個人を特定できないことから、名誉・プライバシー・肖像に関する権利侵害は認められないし、公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被った者と認めることもできない」などとして、運営規則5条1項の(1)、(2)に定める取り扱い基準に該当しないと判断した。宗教団体からの申立てについては、「申立てを受理するかどうかについては、団体としての、規模、組織、社会的性格などを考慮する必要がある。潜入取材に関して申立人が放送中止を求める仮処分申請を東京地方裁判所に出し、却下の決定を受けており、申立人は、本件放送による名誉・信用の侵害については、司法による権利救済を求めることが可能な団体であると解され、司法による救済とは
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