放送人権委員会 判断ガイド 2024
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187審理対象外とした事例ならば、それらは本件申立てで初めて主張することになり、苦情の取り扱い基準にある3か月以内に放送事業者に対して申し立てられた苦情に当たらない」ことから審理対象外と判断した。(2018年10月 第262回委員会)参 照委員会 運営規則5条(苦情の取り扱い基準)1 (4) 審理の対象となる苦情は、放送された番組に関して、苦情申立人と放送事業者との間の話し合いが相容れない状況になっているもので、原則として、放送のあった日から3か月以内に放送事業者に対し申し立てられ、かつ、1年以内に委員会に申し立てられたものとする。ドキュメンタリー番組・俳優家族ある俳優に密着したドキュメンタリー番組に対して、家族が「番組は俳優側との間で交した約束の趣旨と違う内容である。また、番組に提供した映像が許可なく使われた」と申し立てた。委員会は「運営規則において、裁判で係争中の事案および申立てにおいて放送事業者に対し損害賠償を請求する事案は取り扱わないものと定めており(運営規則第5条第1項第5号)、その趣旨を踏まえて、放送局に対する金銭要求が関係している事案については取り扱わないことを原則としているが、この点、申立人は、本件申立てに先立ち、放送局に対して損害賠償の支払いを請求している。また、申立人は、本件放送は自身が撮影した映像を許可なく番組に使用したとして、当該映像について自身が有する権利を侵害するものであるとの主張もしているが、これは、当該映像に関する著作権を主張しているものと解され、当委員会では、著作権に関わる問題については、財産的色彩が強く、委員会の審理に馴染まない」ことから、審理対象とはならないと判断した。(2019年10月 第274回委員会)参 照委員会 運営規則5条(苦情の取り扱い基準)1 (5) 申立てに係る放送に関連する紛争について訴訟、調停等で係争中の事案および放送事業者に対し損害賠償を請求している事案は、原則として取り扱わない。また、申立て後に、苦情申立人、放送事業者のいずれかが司法の場に解決を委ね、もしくは苦情申立人が放送事業者に対し損害賠償を請求した場合は、その段階で審理を中止することができる。

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