171運営規則と委員会の任務付言や要望など政府・自民党の対応に対する危惧の念本件放送について、2015年4月17日、自由民主党情報通信戦略調査会が、NHKの幹部を呼び、「事情聴取」を行った。放送法4条1項3号の「報道は事実をまげないですること」との規定が理由とされた。さらに4月28日には、総務大臣が同じ放送法4条1項3号などに抵触するとして、NHKに対して異例の「厳重注意」を行った。しかし、憲法21条が規定する表現の自由の保障の下において、放送法1条は「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」を法の目的と明記している。そして放送法3条はこの放送の自律性の保障の理念を具体化し「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」として、放送番組編集の自由を規定している。放送法4条は、放送事業者が依るべき番組編集の基準を定めているが、放送番組に対し干渉・規律する権限を何ら定めていない。委員会は民主主義社会の根幹である報道の自由の観点から、報道内容を萎縮させかねない、こうした政府および自民党の対応に強い危惧の念を持たざるを得ない。第57号 出家詐欺報道に対する申立て(2015.12.11)解 説委員会は「結論」部分で上記のように述べるとともに局には自律性を強く求めた。公的権力者の局への申し入れは報道の自由に介入のおそれ本件取材を受けた申立人側は、M氏の政務担当特別秘書を通じ、撮影した映像を放送しないようフジテレビ側に申し入れをしている。申立人側とすれば、子どものことを放送しないよう申し入れることに主眼があったのかもしれない。しかし、人を介しての申し入れであったため、3付言や要望など
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