169運営規則と委員会の任務審理入り後の審理対象・手続名誉毀損と放送倫理①本件放送は名誉毀損には該当するものの、それによってもたらされた申立人の社会的評価の低下は、一定程度、回復されているとみることもできる。その一方で、本件放送には見逃すことのできない複数の放送倫理上の問題が認められる。そこで、本決定では、名誉毀損を指摘するよりも、次項で述べるように放送倫理上の問題を取り上げることの方が、今後の放送倫理の向上のために有益であると判断した。第51号 大阪市長選関連報道への申立て(2013.10.1)解 説委員会は結論を「放送倫理上重大な問題あり」とし、4つの問題点を指摘した。名誉毀損と放送倫理②申立人からのヒアリングによれば、本件放送によって発生した具体的な被害は、その広がりにおいても、時間的継続性においても限定的であること、また経済的損失を生じるまでには至っていないこと、および以下の諸点を勘案した場合、申立人の名誉感情が損なわれたことは明らかではあるが、あえて名誉毀損があったとまで断定する必要はないとの結論で一致した。第40号 保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え(2009.8.7)解 説行政代執行によって保育園用地を強制収容する様子を伝えた情報バラエティー番組について、保育園理事が事実に反する放送内容だと名誉毀損を申し立てた事案。委員会は、申立人が受けた名誉に関する被害はそれほど大きくなく、大阪府による代執行の強引さを指摘するコメンテーターの発言もあったことなどの事情を総合的に考慮し、結論を重大な放送倫理違反とした。関 連撮影日の異なる映像は日付を明示(41ページ)出演者との打ち合わせと放送中のチェック体制(56ページ)名誉毀損と放送倫理③当委員会としては、本件事案において、報道による人格権侵害を認め
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