放送人権委員会 判断ガイド 2024
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166放送人権委員会 判断ガイド2024運営規則と委員会の任務審理入り後の審理対象・手続いことは分っている」と発言し、これに対して拉致被害者家族連絡会が「人の生死に関する安易な発言は、名誉やプライバシーの侵害以上に最も重大な人権侵害である」と申し立てた事案。委員会の任務③申立人が名誉権の侵害を訴え、本決定において申立人の社会的評価の低下を認める以上、本件放送が「苦情の取り扱い基準」について当委員会運営規則第5条1(1)に規定する「名誉、信用…等の権利侵害」に当たるかどうかについての検討を要する。すなわち、重大な放送倫理上の問題があるにしても、法律上違法な権利侵害という程度にまで達しているかどうかという問題である。いうまでもなく当委員会は、報道被害の迅速な解決を目指す自主的第三者機関であって、裁判所とは異なり、証拠に基づいて厳密に違法性の存在、強度を判定して権利侵害の有無、責任の程度を判断して損害賠償や回復措置を強制する場ではない。しかし、だれの目にも明らかな権利侵害があると認められるような場合には違法な名誉毀損があるという結論を出すことを妨げられるものではなく、また臆することがあってはならないと考える。第40号 保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え(2009.8.7)関 連名誉毀損と放送倫理②(169ページ)所有権に関する苦情は審理の対象外申立人は、名誉毀損および敬愛追慕の情の侵害のほかに、リポーターが「検証」と称して許可なく無断で被害者所有の土地に立ち入ったことは、申立人をはじめとする被害者の相続人の所有権を侵害する旨を主張する。この事実に関しては被申立人もこれを認め、申し訳なかったと謝罪しているが、委員会としては「人権」にかかわる苦情を所掌としており、所有権に関する苦情は対象外であるので判断しないこととする(放送倫理・番組向上機構規約第4条(3)ア、委員会運営規則第5条第1項(1)、(2))。第44号 上田・隣人トラブル殺人事件報道(2010.8.5)

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