放送人権委員会 判断ガイド 2024
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165運営規則と委員会の任務審理入り後の審理対象・手続​委員会の任務①言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的とするというBPOの目的(BPO規約3条)を受け、委員会には、人権侵害及びこれらに係る放送倫理上の問題に関する苦情を取り扱うとする任務が付与されている(放送と人権等権利に関する委員会運営規則5条1項1号参照)。すなわち、委員会は、放送局に制裁を加えることを目的とするものではなく、報道被害の解決を図りつつ、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目指すべきものである。以上を踏まえれば、委員会には、どのような形で問題を取り上げることが正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することになるか、より具体的には、事案を人権侵害の問題として扱うか、放送倫理上の問題として扱うかについて、判断の余地が存在すると理解すべきである。第69号 芸能ニュースに対する申立て(2019.3.11)委員会の任務②家族が精神的苦痛を受けたことは十分理解できる。しかし、根拠を示すことなく「生きていない」と断定した発言によって精神的な苦痛を与えられたとき、それが法的な評価としていかなる権利が侵害されたと言えるのか、またその程度をどう評価するかについては、これまで司法の場においても評価が定まっていない。委員会は、その役割からいって法的に精緻な議論を行う場ではないから、こうした問題について確定した判断をすることは必ずしも適切ではないと考える。第43号 拉致被害者家族からの訴え(2010.3.10)解 説討論番組において、司会者が2人の拉致被害者の名前を挙げ「外務省も生きていな2審理入り後の審理対象・手続

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