放送人権委員会 判断ガイド 2024
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164放送人権委員会 判断ガイド2024運営規則と委員会の任務運営規則の解釈と適用るところの「多角的論点の提示」に反する可能性があり、放送倫理上問題があるかないかは、委員会の審理の対象となる可能性が生じる。ただし、その場合も単に公正さのみを問題にするのではなく、冒頭に確認したとおり、公正さを欠くことによって申立人に著しい不利益があったことが審理の要件となる。第48号 肺がん治療薬イレッサ報道への申立て(2013.3.28)解 説抗がん剤の副作用で亡くなった患者の父親が、報道番組で人権侵害を受けたと申し立てた事案。申立人は、本件放送の後編において放送内容が正確性、公正さを欠いた結果、申立人の活動について視聴者に誤解を与え名誉が侵害されたと主張した。委員会は、後編は申立人の人格権との関係は薄く、また著しい不利益が生じているとまでは言い難いとして、公平・公正の問題を取り上げなかった。参 照委員会 運営規則5条(苦情の取り扱い基準)1 (2) 公平・公正を欠いた放送により著しい不利益を被った者からの申立てがあった場合は、委員会の判断で取り扱うことができる。

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