放送人権委員会 判断ガイド 2024
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160放送人権委員会 判断ガイド2024運営規則と委員会の任務運営規則の解釈と適用映像素材の提出を求めず、長男の撮影態様について、現に放送された映像をもとにどのようなものであったか検討し、おおむね局の主張どおりの状況だったと判断した。長女の撮影についても局の説明に相応の合理性があると考えられるとし、結論として2人の子どもに対する肖像権侵害を認めなかった。関 連取材テープは報道目的以外に使用しない(42ページ)撮影だけでも肖像権侵害は成立しうる(126ページ)申立ての期間要件の「原則として」の解釈当委員会の運営規則によれば、「審理の対象となる苦情は、放送された番組に関して、苦情申立人と放送事業者との間の話し合いが相容れない状況になっているもので、原則として、放送のあった日から3か月以内に放送事業者に対し申し立てられ、かつ、1年以内に委員会に申し立てられたものとする」と定められている。上記規定は、当委員会において、「言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し、自主的に、独立した第三者の立場から迅速・的確に対応」する(放送倫理・番組向上機構規約第3条)ため、苦情申立人と放送事業者との間の話し合いによる解決を促すとともに、放送事業者と当委員会への苦情申立てについてそれぞれ一定の期間を定めることによって、迅速・的確な対応を図ったものである。その趣旨に照らして、ここに「原則として」とは、「上記期間内に申立てできないことなどの特別の事情がない限り」と解するのが相当である。第38号 広島県知事選裏金疑惑報道(2008.12.3)解 説3人の申立人のうち、1人は放送から約6か月後に局に抗議し、2人は放送から約1年後に委員会へ申立書を提出するまで局へ抗議をしていなかった。委員会は、運営規則が定めた期間内に局に抗議できなかった「特別の事情は認められない」などとして実質審理に入らなかった。放送前の局への申し入れは運営規則上の「苦情の申立て」に当たらず運営規則にいう「苦情の申立て」とは現に報道された内容に対する具体

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