放送人権委員会 判断ガイド 2024
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159運営規則と委員会の任務運営規則の解釈と適用果の判断に問題があったか否かを判断するものである。委員会では、一部に異論はあるものの、この意味での相当性がないとまでは判断しなかった。しかし、取材のあり方や表現のしかたに関する放送倫理上の問題は、放送による権利侵害の成否を分ける相当性の有無の判断とは異なる問題である。その観点からすれば、本件放送においては、真実性の証明ができていない部分が事件の印象に与える影響が大きいものであることも考慮すると、関係者の名誉に配慮し、事実を正確に伝えるという観点から、どのように取材し、表現するべきであったかという放送倫理上の問題は、別途検討されるべきである。第63号 事件報道に対する地方公務員からの申立て(テレビ熊本)(2017.3.10)第64号 事件報道に対する地方公務員からの申立て(熊本県民テレビ)(2017.3.10)参 照委員会 運営規則5条(苦情の取り扱い基準)1 (1) 名誉、信用、プライバシー・肖像権の権利侵害、およびこれらに係る放送倫理上の問題に関するものを原則とする。関 連警察発表に依拠した報道の相当性(69ページ)逮捕直後の供述内容の報道(74ページ)委員会審理と映像素材フジテレビは、放送用に撮影した素材の目的外利用はできないため映像素材は提出できないと主張する。このフジテレビの主張は「報道活動によって得られた放送素材は原則として放送目的以外には使用しない」とする日本民間放送連盟報道指針に沿うものであり、映像素材の不提出をもってただちにフジテレビに不利な認定をするのは妥当ではない。第65号 都知事関連報道に対する申立て(2017.7.4)解 説2人の子ども(申立人)は、執拗な撮影行為によって肖像権が侵害されたと訴え、正確な事実認定のために局は映像素材を委員会へ提出するよう主張した。委員会は

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