155放送倫理上の問題誠実な姿勢と対応第60号 自転車事故企画に対する申立て(2016.5.16)フジテレビは、申立人が事故被害者遺族の立場から自転車事故の深刻さを訴えてきた立場にあることを認識していながら、申立人の立場や心情に配慮せず、本件放送の大部分を占める本件ドラマが当たり屋の事件を扱ったものであるという肝心な点を申立人に説明しなかった。この点において、フジテレビは申立人に対して番組の趣旨や取材意図を十分に説明したとは言えず、本件放送には放送倫理上の問題があると判断した。関 連特に被害者遺族には心情に配慮した取材説明が必要(17ページ)第59号 ストーカー事件映像に対する申立て(2016.2.15)本件放送中及び放送後に申立人及びA氏が、それぞれフジテレビに抗議の電話をかけて、放送内容が事実に反することなどを主張していた。放送後の抗議の電話では、C氏らが、本件放送前に、職場において本件放送が職場の事件を題材とするものであることを話して回っていたこともフジテレビに告げていた。これに対してフジテレビは、被害者とされた取材協力者自らの行動もあって申立人の匿名性が失われたことが判明した後もなお、プライバシー保護を理由に具体的な回答をせず、申立人からの苦情に真摯に向き合わなかった。この点、上記報道指針に鑑みて、放送倫理上の問題があるといわざるをえない。第58号 ストーカー事件再現ドラマへの申立て(2016.2.15)社内いじめの「首謀者」としていわれなく汚名を着せられたとする申立人からの苦情があったにもかかわらず、フジテレビは、被害者とされた取材協力者自らの行動もあって申立人の匿名性が失われたことが判明した後もなお、取材協力者の保護等を理由として、申立人からの苦情に真摯に向き合わなかった。この点の放送倫理上の問題も看過できない。関 連第59号 ストーカー事件映像に対する申立て(2016.2.15)
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