放送人権委員会 判断ガイド 2024
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154放送人権委員会 判断ガイド2024放送倫理上の問題表現の適切さショーの報道を見ると、犯人としての断定的な報道につながりかねない表現や顔写真の繰り返し使用などが見られ、申立人の名誉を毀損したとまではいえないが、放送倫理上問題があったと判断する。関 連容疑段階では字幕に「容疑」「疑い」を付ける(74ページ)犯人と断定する発言はしない(75ページ)●●誠実な姿勢と対応取材先への説明や対応、放送内容の訂正・謝罪、苦情への対応等において、誠実さを欠いたり不適切だったと指摘されたケース。第62号 STAP細胞報道に対する申立て(2017.2.10)番組制作過程での申立人への取材方法に行き過ぎがあった点で放送倫理上の問題も認められる。関 連行き過ぎた直接取材(25ページ)第61号 世田谷一家殺害事件特番への申立て(2016.9.12) テレビ朝日は、申立人の出演に当たっては衝撃的な事件の被害者遺族であることへの「十分なケアの必要性」を自覚していたと言いながら、出演依頼から番組制作に至る過程を見ると、それをその言葉通りに実践したとは思えない。本件放送に対して申立人が強い反発を抱き、本委員会への申立てに至った一つの理由はこの点にあるだろう。「日本民間放送連盟 報道指針」は「3.人権の尊重」において、「取材・報道される側の基本的人権を最大限に尊重する」とうたい、「取材対象となった人の痛み、苦悩に心を配る」ことを掲げている。この規定に照らして、テレビ朝日は衝撃的な事件の被害者遺族という申立人に対する適切な配慮を著しく欠いていたと言わざるを得ない。

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