放送人権委員会 判断ガイド 2024
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152放送人権委員会 判断ガイド2024放送倫理上の問題表現の適切さ委員会は、静止画像にすれば氏名が判読できる映像を放送した点で、本件放送は人権への適切な配慮を欠き、放送倫理上の問題があると判断する。関 連モザイク処理のミスと求められる人権意識(49ページ)第47号 無許可スナック摘発報道への申立て(2012.11.27)本件放送は、顔のアップ、捜査員の質問に戸惑いつつ答える場面、警察の車両に連行される場面などの申立人が映った映像を繰り返し放送した。こうした映像の「用い方」は、事案が無許可営業という風営法違反の中でも悪質性が比較的軽微なものだったことを考えると、申立人に対する過剰な制裁的・懲罰的効果を生じ、申立人とその家族に精神的苦痛を与えた。特に地域メディアを標榜する被申立人は、「身近なニュース」が報道される側に大きな影響を与えることを常に自覚すべきである。また放送界をはじめ報道機関全体、とりわけ事件報道にかかわる現場では、ここ20年ほどにわたる議論の結果、「犯人視報道」を避けることや、「報道による社会的制裁が刑事罰を大きく上回ることが考えられる微罪については報道しない」という考え方も定着している。本件放送で、被申立人がこうした放送界が積み重ねてきた議論を十分踏まえた形跡はない。これらを踏まえると、本件放送は、申立人に対する人権への適切な配慮を著しく欠き、放送倫理上重大な問題がある。関 連軽微な犯罪は容疑者映像の使用に配慮(76ページ)第46号 大学病院教授からの訴え(2011.2.8)放送内容は質問では「改ざん」という言葉を断定的に用いて追及し、それに対する申立人の応答は、「判決は『改ざん』とはいっていない」と打ち消すにとどまって、質問と応答がすれ違ったまま構成され、そこに上記の「なお、改ざんを否定する教授」のナレーションが続く。上記インタ

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