放送人権委員会 判断ガイド 2024
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150放送人権委員会 判断ガイド2024放送倫理上の問題表現の適切さ立人が在日韓国人であることに関連して、人種や民族を取り扱う際に必要な配慮を欠いていたと言わざるを得ないものであった。さらに1月9日に放送された『ニュース女子』では、冒頭で「『ヘイト』『捏造だ』と抗議殺到」、「大炎上」などとして、人種や民族の取扱に配慮を欠いた前回の放送を取り上げたにもかかわらず、そのような配慮を欠いた点について触れることもなく、「まあ、盛り上がっているという事ですよ」とMCのA氏が総括して冒頭部分を終えるなど、上記の「日本民間放送連盟 放送基準」を守ろうとする姿勢が欠けていたと言わざるを得ないものであった。このような放送内容について問題としなかったTOKYO MXの考査のあり方は、放送倫理上問題があった。第63号 事件報道に対する地方公務員からの申立て(テレビ熊本)(2017.3.10)第64号 事件報道に対する地方公務員からの申立て(熊本県民テレビ)(2017.3.10)犯罪事実が確定しておらず、また、捜査機関からの情報の他に裏付けもない逮捕直後の段階での報道においては、より慎重な姿勢で捜査機関に取材し、事実が「疑い」や「可能性」にとどまるのであれば、そのことを正確に表現する報道姿勢が求められる。テレビ熊本(熊本県民テレビ)は、このような姿勢を欠いたため、申立人の名誉への配慮が十分ではなく、正確性に疑いのある放送を行う結果となったと評価せざるを得ない。報道は、事実を客観的かつ正確・公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない(放送倫理基本綱領)。また、個人の名誉を傷つけるような取り扱いをしてはならない(日本民間放送連盟放送基準第1章(2))。したがって、委員会は、本件放送には放送倫理上の問題があると判断する。関 連逮捕直後の供述内容の報道(74ページ)

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