放送人権委員会 判断ガイド 2024
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149放送倫理上の問題表現の適切さ●●表現の適切さ人権への配慮に欠けるコメントや発言、映像表現などが問題とされたケース。第69号 芸能ニュースに対する申立て(2019.3.11)過去の番組のVTRが放送され、その中で「誰に何を言われようと、やんちゃに生きていきますね」という申立人のやんちゃ発言VTRが流される。このVTRは、2009年6月12日開催のイベント「『男のやんちゃ買い』推進委員会」発足記者発表会の模様を撮影したものである。これも前述の通り、そこでは、男性のモノへのこだわりをポジティブに評価する意味で「やんちゃ買い」という表現が使われていることは明らかであるが、本件放送の視聴者はこうした文脈を理解することはできず、本件放送の文脈からは、パワハラが疑惑ではなく実際に存在したという印象を強める効果を持っている。8年以上前のVTRを本件放送で使用した理由についてTBSは、ライブラリーで保存されていたものから数件の候補を選び出し、男らしさ、気風の良さといった申立人の人柄を端的に表しているVTRを使用したと説明している。また、このやんちゃ発言VTRを使用することにより、パワハラが疑惑ではなく実際に存在したという印象を強める効果を持ち得ることについては制作当時には認識がなかったが、結果的には配慮が足りなかったと述べている。この点については、TBSも認める通り、申立人の名誉や名誉感情に対する配慮が不十分であり、放送倫理上の問題がある。第67号 沖縄の基地反対運動特集に対する申立て(2018.3.8)1月2日に放送された『ニュース女子』では、過激で犯罪行為を繰り返すものと描かれた反対運動と結びつけて、「朝鮮人はいるわ、中国人はいるわ」、「親北派ですから」などと特定の国籍や民族的出自を論じ、申

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