146放送人権委員会 判断ガイド2024放送倫理上の問題客観性、公平・公正裏付けるものである。しかるに、被申立人は、本件は犯罪をした加害者に関する報道であるから、申立人の弁明を聞くことなく、放送してもよいとの見解のもとに放送に及んだものであるが、報道の目的意図を明らかにして申立人から充分な事情聴取をすることなく本件放送をした点において放送倫理違反がある。関 連トラブル取材のあり方(83ページ)参 照文中の放送法の「報道は事実を曲げないですること」(3号)、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(4号)は、現在は4条に規定されている。第21号 山口県議選事前報道(2003.12.12)本番組での申立人の扱いは、他の登場者はプラスイメージで取り上げられているのに較べ、申立人については最多出馬というプラスイメージよりも、「12回出馬しいずれも落選」というマイナスイメージを強く印象づけるものであった。また、放送時期も告示の10日前という選挙の直前であった。したがって、立候補予定者の公平な取り扱いについて思慮を欠いただけではなく、負のアナウンス効果を不用意に生み出し、視聴者である有権者に不当に予断を与えた可能性も否定できず、放送倫理上問題があったと判断する。第11号 隣人トラブル報道(1999.12.22)一般に、対立する一方からの情報提供に基づいて番組制作に当たる場合(特に私人間の場合)は、提供された情報内容について慎重に事実関係を確かめ、相手方への取材も十分に行い、その人権や立場に極力配慮しなければならない。本件の場合、取材・編集の軸足が当初から情報提供者側に置かれていたのであるから、申立人の意見や言い分も出来るだけ放送に反映する努力を払い、番組の公正、公平に努めるべきであった。しかし、対立する
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