放送人権委員会 判断ガイド 2024
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145放送倫理上の問題客観性、公平・公正は必要不可欠というべきであり、報道対象者への取材をしなかった点において、本件放送には放送倫理違反があるといわざるを得ない。関 連報道対象者への取材は不可欠③(21ページ)第36号 高裁判決報道の公平・公正問題(2008.6.10)被申立人に放送番組編集の自由が認められることはいうまでもなく、その自由は十分に尊重されなければならないものであるが、その点を考慮したとしても、本件放送は、意見が対立している裁判の判決を報じるものであり、かつ、被申立人自身が当該裁判における一方の当事者であったという特殊性を考慮すると、本件放送において裁判で対立する相手方である申立人らの意見に一切触れることなく、自らの解釈だけを報じたことは、申立人らに対して公平・公正を欠き、放送倫理違反があったといわざるを得ない。関 連個々のニュースの中で双方の意見を伝えることが原則(53ページ)第26号 喫茶店廃業報道(2005.10.18)社会的な不正や悪を指摘する報道であっても、報道対象者に報道の意図を明らかにしてその弁明を聞くことは報道の鉄則である。放送法3条の2は、放送事業者の放送番組の編集基準として、「報道は事実をまげないですること」(3号)、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(4号)と規定しており、日本民間放送連盟の報道指針(1997.6.19制定、2003.2.20改正)は、「取材・報道の自由は、あらゆる人々の基本的人権の実現に寄与すべきものであって、不当に基本的人権を侵すようなことがあってはならない。市民の知る権利に応えるわれわれの報道活動は、取材・報道される側の基本的人権を最大限に尊重する」としており、「犯罪報道にあたっては、無罪推定の原則を尊重し、被疑者側の主張にも耳を傾ける。取材される側に一方的な社会的制裁を加える報道は避ける」と定めているのは、このことを

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