放送人権委員会 判断ガイド 2024
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144放送人権委員会 判断ガイド2024放送倫理上の問題客観性、公平・公正第44号 上田・隣人トラブル殺人事件報道(2010.8.5)本件放送は、取材段階と編集・放送段階を通じて被害者側の事情にも目を向け、その名誉と生活の平穏を保護するという配慮に欠けていたと言える。そのような配慮が尽くされていたならば、放送内容も被害者側に不公平感を抱かせるようなものにはなっていなかったであろう。そのことは本件のような深刻な殺人事件等を扱う場合にはよりいっそう留意されなければならず、メディアとしては想像力を働かせねばならないところである。委員会は、取材、放送の各段階においてそのような配慮に欠けた点に放送倫理上の問題があると判断する。関 連公平性の観点からの反対取材の必要性(52ページ)公平性を欠くインタビュー構成(52ページ)被害者遺族への対応②(71ページ)第41号 割り箸事故・医療裁判判決報道(2009.10.30)本件においては、すでに詳述したとおり判決の読み方がいかにもずさんであり、その内容が不正確となったがためにスタジオトーク部分において公平性を欠くものになったと同時に、VTR部分を含めて考えると、申立人らおよび一般視聴者に対し、構成全体として不公平感を抱かせるものになったと判断する。したがって、本件放送には、コメンテーターの発言、放送全体の構成において『放送倫理基本綱領』における「報道は、事実を客観的かつ…公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」との定めに反する放送倫理違反があると言わざるを得ない。関 連判決の不正確な要約②(34ページ)第37号 群馬・行政書士会幹部不起訴報道(2008.7.1)行政書士会という公的存在における複雑な背景事情と、それに関連して発生した一方の当事者の言い分に基づく申立人の傷害容疑の報道をすることは、申立人の名誉に関わる事柄であるから、その弁明を聞くこと

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